○ミドルフェイズ・シーン1――レンハ
GM:宮殿での王の会見から一夜明けて、翌日のこと。レンハさんは、とある貴族からお招きを受けています。
レンハ:とある貴族?
ワッカ:とある貴族の……
アールゥ:超電磁砲?
GM:はい。グレアム・アーデンハイド。齢90を超えるドゥアン(牙爪族)の男性で、位はなんと公爵です。
GM:爵位は上から順に公侯伯子男ですから、要するに貴族でも最上級です。
ワッカ:でゅーくぐれあむ
レンハ:挨拶回りじゃないが、なんというのかな、顔見せということになるのか。
GM:ルカ=ディエン伯も知らぬ仲ではないようで、面白そうにレンハさんを送り出します。本人は仮病で欠席しますが。(笑)
GM:アールゥさんは用事があるようですし、クリスもそういう場所にのこのこと出かけられる身分ではありません。行ってらっしゃい。(にこやかに)
レンハ:……うむ……?
GM:何やら腑に落ちない様子ですが、どうかしましたか?
レンハ:いや、まぁ、なんでもない。参ろう。
GM:では、迎えの馬車に乗ってアーデンハイド邸を訪れたあなたは、サロンへと通されます。
GM:そこには、十人弱の貴族たちが待ち受けていました。
グレアム:「おお、主賓の登場だ。ようこそ、レンハ伯!」 最初にやってきて握手を求めてきたのは、髭をきっちりと刈り込んだ偉丈夫――グレアム公爵。
レンハ:「グレアム公爵。本日はお招き頂いて有り難う御座います。」 握手に応じる。
グレアム:「皆を紹介しよう! まずは……カロー侯!」
シルヴェストル:呼ばれたのは、黒髪の美男子。若々しい容貌は20そこらにしか見えませんが、エルダナーンの証である三角耳を見る限り、見た目通りの年齢ではないのでしょう。
シルヴェストル:「初めてお目にかかります、レンハ伯。私はシルヴェストル・カロー、ウィンフィールド地方を預かる者です。以後、お見知りおきを。」
GM:……なんとなくわかってると思いますが、ここから横文字が続きます。自信がないときはメモを取った方がいいかもしれません。
レンハ:「こちらこそ、よろしくお願い申し上げします。」 十人弱出てくるわけだな! メモした。
GM:さすがに名前持ちは半分以下なので安心してください。
GM:続いて、「フォーミダブル卿!」の声に応じて進み出てきたのは、青い髪と瞳を持つ五十代のヒューリン。似たような人物を数年前に見たことがあるかもしれません。
レンハ:聞き覚えがある。
ユリウス:「ユリウス・フォーミダブル子爵だ。白竜騎士団王都守備隊の隊長を務めている。よろしく。」 堅い物言いは、明らかに武門の家の出自です。
GM:他にも数人、子爵以下の貴族が紹介されますが……それが済んだところで、背後の扉が勢いよく開かれます。
男性:「遅れてすまない! ああ、もう始まっていたか?」
グレアム:「まったく、相変わらずだな。レンハ伯、あちらが……」
GM:遅れて現れたのは、銀髪に水色の瞳を持つ、四十代の侯爵です。
フェイ:「フェイ・テイラー侯爵だ。よろしく頼む!」
レンハ:(メモを続けながら)おっと、フェイ侯爵というと……。
GM:ええ。四年前の決闘のお相手……の、本物です。
レンハ:少しハッとするが、すぐに挨拶を。 「レンハと申します。よろしくお願いいたします。」
GM:では、レンハさんの様子には誰も触れないまま、談話パーティが始まります。
レンハ:本人とあの偽物が関わりあるとは言えないし、今は気にすべきことじゃないな。うむ。
GM:酒はいかがか、つまみはどうだ。ほとんど初対面の王都の貴族たちに、レンハさんは寄ってたかってちやほやされます。
GM:幸運にも姫君を射止めた成り上がりの田舎者と、蔑んだり羨んだりするような者は一人もいません。
レンハ:不慣れながら応対する。受け入れてもらえるのは幸いなことだ。
セラ:「うおりゃー、酒持ってこーいっ」 ずぎゃーん
グレアム:「伯……おっと、“赤竜伯”のほうだ。幼い貴君を連れてゴート領主となったのは、もう何十年前だったかな。まったく、ずいぶん立派になって帰ってきたものだ!」
シルヴェストル:「確か、レンハ伯と私は歳も近いはずです。私も領主を継いだのはほんの十数年前でしたが、なかなかままならないものですよ。」
GM:片や親戚の小父のように、片や親しい先輩のように振る舞い。
レンハ:そうではないかと思っていたが、グレアム公とはやはり幼い頃にあったことはあったんだな。 「精進いたします。」
ユリウス:「“赤竜伯”の……ゴート辺境騎士団、だったか。領主とならば、卿が団長をも継ぐのだろう。剣腕はかなりのものとお見受けする。」
GM:また、その剣腕を誉めそやす者ありといった感じです。
フェイ:「へえ、それは一度手合わせ願いたいものだな!」 なんて、冗談にもならない冗談が飛んだりして。
レンハ:社交辞令を交わ……せるほどには成長……しているかどうか怪しいところだな……ごほん。
フェイ:「しかしよかった。それほど腕が立つならば、昨今の王都でも安心して大手を振って――」
グレアム:「テイラー侯!」
レンハ:む。
GM:突然、アーデンガード公が声を張り上げ、貴族たちが押し黙ります。
GM:しかし、当のテイラー侯は肩をすくめて、「別に隠すこともないだろう」とどこ吹く風。
レンハ:ああ、あの偽物は優秀だったのだな、と今になって思った。
GM:思い切りのいい人物なのは本当です。ええ。
GM:場には居心地の悪い沈黙と、レンハさんの機嫌を窺うような空気が漂います。どう振る舞います?
レンハ:あー。できれば空気を変えたいが……。
GM:穏便に済ませたければそれでもいいでしょうね。あるいは逆に、好機とばかりに突っ込んでみるのもありかもしれません。
GM:何せここは、権謀術数渦巻く王都の貴族社会のまっただ中なのですから。
GM:危うく人外魔境とか言いそうになった
レンハ:突っ込んでみるというのは、王都の情勢についてってことだな。いま聞くことでもあるまいし……
レンハ:咳払いをして、「お気を遣わせてしまったようで申し訳ありません。ああ、一杯いただいてよろしいですかな。」 とでも。
GM:では、すかさずカロー侯あたりがグラスを差し出して、場にざわめきが戻ります。
GM:と、何やら今も王都では、思惑が絡み合っている様子。気をつけておかないと、大変なことになるかもしれません……
レンハ:そうだな。式の前にも多少なり見聞が必要そうだ。
GM:というところで、シーンを終了しましょう。
○ミドル・シーン2――アールゥ
GM:というわけで、打ち合わせ(笑)二日目です。あなたは約束通り白竜神殿を訪れてもいいし、断って王都のディエン邸で過ごしてもよい。
アールゥ:いえいえ、打ち合わせは大事ですし、ちゃんと行きますよ
担当者(ワッカ):「ここでゴンドラを上から……」
GM:そうですね、大事ですね。……えっ何その演出
担当者(ワッカ):「いやいや、レンハ殿と言えばドラゴンにのって……」
GM:今までそんな描写なかったですよね……(笑)
GM:というわけで白竜神殿へようこそ。昨日と同じ侍祭が、大神官の部屋まで案内してくれます。
アールゥ:「10mのウェディングケーキをお二人のバッシュで一気にですね……」
レンハ:コントか
GM:ごめんクリス姫《バッシュ》持ってない(そういう問題と違う)
セラ:「そうそう、やるなら《ラッシュ》だよね」
アールゥ:では、扉をノックします
担当者(ワッカ):「同期の騎士の○○殿が、割り箸をしr……」
GM:あーあー、ごほん! 案内されている途中で感じることですが、神殿内は昨日よりも少し慌ただしいようですね。案内の少女もベルクに言われて、すぐに務めに戻ります。
ベルク:「ようこそ。さあ、おかけになって下さい。」
アールゥ:「失礼します。」礼をして座ります
ワッカ:おかけになった電話番号は……を、なぜか思い出した。
GM:そして、今度こそ打ち合わせが始まる……かと思いきや、いつの間にか話題は互いの近況へとそれていきます。
アールゥ:昔話なんかもまじえつつ(笑)
ベルク:「――なるほど、ずいぶんと長くルカ=ディエン伯に仕えているのですね。」
アールゥ:「はい。いまは……ご子息のレンハ殿の従者をさせていただいてます。」
ベルク:「そしてその前は、冒険者をしていたと。……」
GM:そこで何故か、ベルクは思い悩む顔をします。
アールゥ:「……どうなされました?」
ベルク:「いえ……」 と珍しく言葉尻を濁そうとしますが、アールゥさんの視線に負けて口を開きます。
ベルク:「アールゥ……貴方は、“妖魔”というものを見たことがありますか?」
アールゥ:「……妖魔……ですか……」
アールゥ:(少し声を小さくして)「……4年前に」 と、その時の事を話します。
アールゥ:貴族等の名前は出さずに、さる貴族になりすましてクリス姫を殺害しようとしてた~……という風に。
ベルク:「そう、ですか……私も報告を受けたことがあるのです。この大陸にいないはずの、邪悪化した怪物どもを見たと……」
ベルク:「このアルディオン大陸の成り立ちはあなたも知ってのとおりです。」 と言って、ベルクは壁のタペストリーに目をやります。そこには、件の伝承が描かれています。
アールゥ:タペストリーに顔を向けて頷きます。
GM:今から800年ほど前、エリンディル大陸では数多の妖魔や魔族が跋扈していました。古代の優れた戦士たち――“セイン”は、多くの仲間を失いながらも魔族たちを滅ぼし、神竜王はその労に報いるため、憩いの地としてこのアルディオン大陸を与えた……とされています。
レンハ:800年前……。アールゥもまだ新米の頃か(違う)
GM:残念ながらそのころにはまだエクスマキナという種族そのものがいないと思われます。(笑)
アールゥ:実はセインでした(略)
GM:というか700年以上生きてから「いつ死ぬのか分からなくて怖いよー」も何もないもんだ
アールゥ:たしかに(笑)
ベルク:「邪神のしもべたちのいない、平和な土地……しかし、今の有り様はどうしたことでしょう。本来いるはずのない魔物が跋扈し、多くの諍いが争いにまで発展しているのです。」
ベルク:「このグラスウェルズも例外ではありません。国王は統一帝への野心に燃え、貴族たちは開戦派と反戦派に分かれて諍い、ついには争いの果てに――」
GM:と言いかけたところで、大神官ははっとなって口をつぐみます。
ベルク:「……神官にあるまじき発言でした。今のはお忘れ下さい。」
アールゥ:「ベルク殿」
ベルク:「……何でしょう?」 理知的な瞳が見返してきます。
アールゥ:「……これはまだ憶測の段階なのですが……もしかしたらこの王宮内に妖魔が入り込んでいる……もしくは妖魔を使っているものがいるかもしれません」
アールゥ:「そう考えれば……4年前のクリス様暗殺未遂に関しても納得いくのです……でなければ妖魔がクリス様を狙う理由がありません」
ベルク:「な……!?」 大神官は目を見開き、慌てた様子で周囲に目を配ります。もちろん、大神官の部屋に盗み聞きを仕掛ける者などいようはずもないのですが。
セラ:なるほど、黒幕はベルクかぁ
ベルク:「神殿に入られたティアナ姫から、事件について多少のことは伺っています。しかし……しかし、アールゥ。この国が……そのような……」
GM:これまで人生を国内で過ごしてきた愛国心溢れる人物には、あまりに衝撃が大きすぎる大胆な発言でしたね。
アールゥ:「そこでベルク殿にそれとなく王宮内を調べていただきたいのですが……」
ベルク:「みだりにそのようなことを口にしてはなりません、アールゥ。ここは二千万を超える民の住まう白竜王国、その中枢たる王都なのですよ!」
アールゥ:「……失礼しました」
GM:声を荒げた大神官は、しばらく興奮冷めやらぬといった状態でしたが、やがて息を整えて落ち着きます。
ホロ:生きることに悩んでいたのですね
GM:……。えっ?
セラ:そういう人っているよねぇ。《ジャグリングアタック》
GM:何が……起こっている……
ベルク:「“汝、疑うことなかれ”――よいですか、アールゥ。この王都だけでも、十五万を超える数の人間がいるのです。」
ベルク:「あなたの振る舞いが、どのように噂されるかもわかりません。従者として、慎んで務めなさい……」 少し疲れた様子で、大神官は忠告します。
GM:……そろそろ、おいとました方がよさそうですね。
アールゥ:そうですね。
アールゥ:「……では今日はこのあたりで……失礼しました」と言って礼をして出て行きます。
ベルク:「……明日は、この白竜神殿の再建を記念した式典があるのです。貴方も、よろしければお出でなさい……」
アールゥ:「……はい。喜んで出席させていただきます」
GM:旧友の哀しそうな視線に見送られつつ、シーンを終了しましょう。
GM:では、次のシーンへ。
○ミドル・シーン3――ホロケウ
GM:オープニングから約一週間後。途中で親切な馬車にでも出会ったのか、ホロさんは予想より早く王都に到着しました。
ホロ:「ありがとうございました。」
GM:馬車の持ち主の行商人は手を振って、夕暮れの商店街に消えていきました。
ワッカ:「ふうふだとおもわれたですかね?」
GM:なにそれこわい
GM:というわけで、なんとか夜になる前に王都に入ることができました。これからどうしますか?
ワッカ:「みちにまよっちゃった~」とホテル街に……
レンハ:ワッカはほんとぶれないな
GM:方針はブレないけど手段は選びませんよね
ホロ:さて、どうしましょうか。
GM:今夜の宿を探すもよし、アテがあるならば誰かに会いにいくのもよし。
ホロ:アールゥさんのところに行くのが一番無難でしょうかね?
ワッカ:!?
GM:あとお忘れかもしれませんが、ホロさんも白竜騎士団の一員です。この街には騎士団の本部もありますから、そちらに行ってもいいでしょうね。
ホロ:そうですね、まずそちらに顔を出しておきますか。
GM:では、街の中心へと向かっていくと……途中で、巡回中の白竜騎士に呼び止められます。
白竜騎士:「そこの君! こんな時間に一人でどうした?」 フィルボルでもネヴァーフでもなさそうなのを確認して、子供と思って声をかけてます。
ホロ:では、これこれこういうものですと。印を見せておきます。
アールゥ:葵の紋のはいった印籠ですね
ワッカ:このもんどころがめにはいらぬか~!(8時45分)
白竜騎士:白竜騎士は驚き、兜の面当てを跳ね上げます。そこから覗くのは、青い瞳の精悍な顔立ち。
白竜騎士:「暗くてよくわからなかったが……君か、騎士ホロケウ!」
ワッカ:しってるひと?
GM:ええ。四年前、ローンフット地方で。
セラ:ジェラルだね(えっ)
クラウス:こっちですこっち!(笑) クラウス・フォーミダブル。四年前のブルム侵攻で白竜騎士側の指揮を執った元・男爵です。
ホロ:「お久しぶりです、ご無沙汰してます」
ワッカ:「その節は、夫がお世話に……(略)」
クラウス:「ああ、久しぶりだな。あれから妹さんには会えたのか?」
ホロ:「いえ……。」(しんみり)
クラウス:「そうなのか……何、気を落とすな。」
クラウス:「私はこれから本部に戻るところだが、一緒に行くかね?」
ホロ:「はい、ありがとうございます、ご一緒させてください」
GM:では二人は連れ立って、白竜騎士団への本部へと向かいました。その日は騎士団の宿舎で一泊する、ということでよろしいですか?
GM:連れ立って、か。
ワッカ:はい~。
ワッカ:「妻のワッカです」
GM:騒然とする白竜騎士団
GM:では、王都での活動拠点を得たところでシーンを終了しますね。
ホロ:はい~。
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